このブログでは、J-popの様々な名曲を、コード、メロディー、リズム、歌詞などのいろいろな観点から分析しています。
今回は、夏ソングの定番であるMrs. GREEN APPLEの「青と夏」を分析していきます。
曲紹介
基本情報
2018年8月1日にリリース。映画『青夏 きみに恋した30日』の主題歌として書き下ろされた。2020年8月にはストリーミング再生が1億回を超えるなどチャートでも好記録を残し、Mrs. GREEN APPLEが売れるきっかけの曲となった。
また、2024年8月現在、billboard週間チャートで8位に入っており、もはや夏の青春ソングの定番として世に定着したことがうかがえる。
主なチャート成績
・Billboard Japan ストリーミング再生数 6億回 突破
・Billboard Japan Hot 100 2023年度年間20位
・Billboard 通算チャートイン回数 249回
曲分析
コード進行については、ChordWiki(ChordWiki : コード譜共有サイト 〜無料の歌詞とコードをシェアしよう)を参照しています。
また、著者の勉強不足により説明が間違っている箇所がある可能性がございます。見つけた場合は、お問い合わせフォームでご指摘いただけると助かります。
キーはEメジャー、BPMは185です。
イントロ
Ⅰ/Ⅲ | Ⅳadd9 | Ⅴsus4 | Ⅵm7 | Ⅰ/Ⅲ | Ⅳadd9 | Ⅱm7 Ⅴsus4 | Ⅰ |
Ⅳadd9 | Ⅰ/Ⅲ | Ⅱm7 Ⅴsus4 | Ⅰ Ⅲ | Ⅵm | Ⅱ | Ⅳ Ⅴ | Ⅰ Ⅴ# Ⅶ♭ |
イントロからギターがめちゃくちゃかっこいい。早くも青と夏の世界観に引き込まれてしまいます。なぜイントロからこんなに盛り上がるのか、その一番のポイントはドラムにあると思います。スネアとタムを同時に八分で叩いており、これから盛り上がっていくぜ!!!と言わんばかりのキャッチーなイントロになっています。
コードについてですが、この曲ではやたらとⅠ/Ⅲという分数コードが使われています。このコード自体は特段珍しくもないのですが、曲始まりは大抵Ⅰを使うので、この使い方はちょっと珍しいです。Ⅰと違って若干の浮遊感(不安定感?)があります。
ⅢはただのⅥmへのセカンダリードミナントと解釈できますが、その後のⅡが不思議です。普通はⅡmを使うのですが、わざとマイナーではなくメジャーにすることで、予想外の明るい印象を聞き手に与えます。
さらに、この曲ではⅤ# Ⅶ♭という流れがめちゃくちゃ出てきます。この二つのコードは同主調(Cマイナーキー)の平行調(E♭メジャーキー)からの借用和音です。次に来るⅠ/Ⅲを便宜上Ⅰと捉えると、Ⅴ#→Ⅶ♭→ⅠはE♭メジャーキー上ではⅣ→Ⅴ→Ⅵとなるため、自然にAメロにつながる部分転調であることが分かります。
一番-Aメロ
Ⅰ/Ⅲ | Ⅳadd9 | Ⅴsus4 | Ⅵm7 | Ⅰ/Ⅲ | Ⅳadd9 | Ⅴsus4 Ⅴ#dim | Ⅵm7 |
涼しい風吹く 青空の匂い 今日はダラッと過ごしてみようか
Ⅰ/Ⅲ | Ⅳadd9 | Ⅴsus4 | Ⅵm7 | Ⅰ/Ⅲ | Ⅳadd9 | Ⅴsus4 | Ⅴ | Ⅴ# | Ⅶ♭
風鈴がチリン ひまわりの黄色 私には関係ないと 思っていたんだ
Aメロは一旦静かになります。Aメロの歌詞では夏の日常的な風景が描写されています。「関係ないと」の部分で短いブレイクが挟まり、その後急激に曲が盛り上がっていき、そのままBメロを経由せずにサビに入っていきます。Bメロをすっ飛ばしてサビにいくというのが、青春に飛び込むのが待ちきれない!という高校生たちの熱い感情を表現しているという解釈もできると思います。
Ⅴ#dimはⅤsus4とⅥm7を繋ぐパッシングディミニッシュです。
サビの手前でも、やはりⅤ#→Ⅶ♭の流れが使われています。また、「思っていた」の部分のドラムがまた、サビに向かう盛り上がりを演出しています。
一番-サビ
Ⅰ Ⅴ/Ⅶ | Ⅵm7 Ⅰ/Ⅴ | Ⅳ Ⅴ | Ⅰ | Ⅳ Ⅴ | Ⅵm7 Ⅰ/Ⅲ | Ⅳ Ⅴ | Ⅰ |
夏が始まった合図がした “傷つき疲れる”けどもいいんだ
Ⅰ Ⅴ/Ⅶ | Ⅵm7 Ⅰ/Ⅴ | Ⅳ Ⅴ#dim | Ⅵm7 Ⅰ/Ⅲ | Ⅳ Ⅴ | Ⅵm7 Ⅰ | Ⅳ Ⅴ | Ⅰ Ⅲaug7 | Ⅳ |Ⅰ | Ⅱm7 Ⅴ | Ⅰ |
次の恋の行方はどこだ 映画じゃない 主役は誰だ 映画じゃない 僕らの番だ
サビのメロディーは弱起でスタート。小節始まりのタイミングで「ドドン」という低い打楽器みたいな音が鳴っているんですけどこれ何の音ですか?詳しい方教えてください笑。この音が結構いい味出している用な気がします。
コード進行はカノン進行がベースになっており、だんだんとベース音が下がっていくような進行になっています。ベースは下がっているがメロディーは上がっているという、ベースとメロディーが逆行するパターンはいろんな曲に見られるような気がしますが、この曲もその一つです。
Ⅲaug7は第三音のソ#がⅣの第三音であるラに半音で繋ぐ役割を果たしていると考えられます。また、Ⅰと構成音がほとんど変わらないというのもこのコードが使われている理由なのかなと思います。
一回目の「映画じゃない」の部分からスネアが四分打ちになり、サビのクライマックス感が演出されています。二回目の「映画じゃない」でテンポがゆっくりになり、先ほどの盛り上がりから一転、落ち着いてサビが終わります。
二番-Aメロ
Ⅳadd9 | Ⅰ/Ⅲ | Ⅱm7 | Ⅰ | Ⅱm7 | Ⅰ/Ⅲ | Ⅱm7 Ⅴ7 | Ⅰ |
優しい風吹く 夕焼けの「またね」 分かっているけどいつか終わる
Ⅳadd9 | Ⅰ/Ⅲ | Ⅱm7 | Ⅰ | Ⅳadd9 | Ⅰ/Ⅲ | Ⅱm7 Ⅴ | Ⅰ |
風鈴がチリン スイカの種飛ばし 私にも関係あるかもね
メロディーは一番のAメロと変わっていませんが、コード進行はⅣ始まりになるなど、結構リハーモナイズされています。
また、一番と違いかなり落ち着いた雰囲気になっています。歌詞からも、時間が夕方に移り変わったことがうかがえます。ボーカルの大森さんの歌い方もかなり優しい感じになっています。
また、一番では「私には関係ないと思っていたんだ」だったのが、二番では「私にも関係あるかもね」となっており、語り手の心境の変化が描写されていることが分かります。
二番-Bメロ
Ⅵm7 | Ⅰ/Ⅲ | Ⅳ |Ⅰ Ⅴ/Ⅶ | Ⅵm7 | Ⅰ/Ⅲ | Ⅱm7 Ⅴ | Ⅰ |
友達の嘘も転がされる愛も 何から信じていいんでしょうね
Ⅵm7 | Ⅰ/Ⅲ | Ⅳ | Ⅰ Ⅴ/Ⅶ | Ⅱm7 | Ⅰ/Ⅲ | ⅣM7 | Ⅴ# | Ⅶ♭ |
大人になってもきっと 宝物は褪せないよ 大丈夫だから今はさ 青に飛び込んでいよう
二番では、一番で登場しなかったBメロが登場しています。BメロはⅥ始まりになっており、今までになかった雰囲気で展開されています。
「友達の嘘も転がされる愛も何から信じていいんでしょうね」という歌詞から、思春期の心の不穏さのようなものが表現されていることがわかります。しかしBメロ後半では再び明るく開き直り、二番のサビへとつながっています。
二番-サビ
Ⅰ Ⅴ/Ⅶ | Ⅵm7 Ⅰ/Ⅴ | Ⅳ Ⅳm | Ⅰ | Ⅳ Ⅴ | Ⅵm7 Ⅰ/Ⅲ | Ⅳ Ⅴ | Ⅰ |
夏が始まった恋に落ちた もう待ち疲れたんだけど、どうですか??
Ⅰ Ⅴ/Ⅶ | Ⅵm7 Ⅰ/Ⅴ | Ⅳ Ⅴ#dim | Ⅵm7 Ⅰ/Ⅲ | Ⅳ Ⅴ | Ⅵm7 Ⅰ| Ⅳ Ⅴ | Ⅱm7 ・・・
本気になればなるほど辛い 平和じゃない 私の恋だ
サビは一番とほぼ同じなので飛ばそうかと思ったのですが、一カ所だけめっっっっっちゃオシャレなポイントを見つけてしまいました。
それが、3小節目のⅣmというコード。いわゆるサブドミナントマイナーというやつです。サブドミナントマイナーはJpopでは割とよく見られるノンダイアトニックコードであり、めちゃくちゃ強い哀愁を感じさせます。
一番ではシンプルにⅣ→Ⅴ→Ⅰだったのが、二番ではⅤではなくⅣmへと変わっており、一番との対比もあって強く情緒を感じさせます。
さらに凄いのが、「恋に落ちた」のタイミングでこのコードが使われているところです。
なんてエモいんだ…。
普通に聞いてたらスルーしちゃいそうなくらいの部分ではありますが、よくよく聞いてみたらめっっちゃエモい。大森さんの甘い声も相まってすごく良い味を出しています。
Cメロ
Ⅵm7 | Ⅰ/Ⅲ | Ⅳadd9 | Ⅰ Ⅴ/Ⅶ | Ⅵm7 | Ⅰ/Ⅲ | Ⅳadd9 Ⅴ | Ⅰ Ⅴ/Ⅶ |
寂しいな やっぱ寂しいな いつか忘れられてしまうんだろうか
Ⅵm7 Ⅴ/Ⅶ | Ⅰ Ⅰ/Ⅲ | Ⅳ Ⅴ | Ⅰ Ⅴ | ⅣM7 Ⅴ7 | Ⅵm7 Ⅰ/Ⅲ | ⅣM7 Ⅴ7 | ・ Ⅲ |
それでもね 「繋がり」求める 人の素晴らしさを信じてる
Ⅵm7 | Ⅱ7 | Ⅳ | Ⅰ | Ⅱm7 | Ⅰ/Ⅲ | Ⅳ | Ⅴsus4 | Ⅴ# | Ⅶ♭
運命が突き動かされてゆく 赤い糸が音を立てる 主役はあなただ
Cメロでは音数がグッと減り、しんみりした雰囲気になります。コード進行はBメロとあまり変わりません。
「それでもね」の部分からは、ベース音がⅥ→Ⅶ→Ⅰ→Ⅲ→Ⅳ→Ⅴと上っていくような進行になっており、だんだんと雰囲気が変わっていきそうなことを予感させます。
「運命が」以降は、歌詞に沿うようにややダークな響きで再び盛り上がりを見せていきます。
ラスサビ
Ⅰ | – | – | Ⅰ Ⅴ/Ⅶ | Ⅵm7 | Ⅰ/Ⅲ | Ⅳ Ⅴ | Ⅰ | Ⅵm7 | Ⅴ#dim | Ⅰ/Ⅴ | Ⅱ7 | Ⅳ Ⅴ | Ⅵm7 Ⅰ/Ⅲ | Ⅱm7 Ⅴ | Ⅰ
夏が始まった君はどうだ 素直になれる勇気はあるか この恋の行方はどこだ 映画じゃない 愛しい日々だ
Ⅰ | Ⅰ/Ⅲ | Ⅳ Ⅴ | Ⅰ | Ⅵm7 | Ⅰ/Ⅲ | Ⅳ Ⅴ | Ⅰ | Ⅳ | Ⅰ/Ⅲ | Ⅱm7 Ⅴ | Ⅰ Ⅲ | Ⅳ Ⅴ | Ⅵm7 Ⅰ/Ⅲ | Ⅳ Ⅴ | Ⅰ
恋が始まった合図がした 今日を待ちわびたなんて良い日だ まだまだ終われないこの夏は 映画じゃない 君らの番だ
Ⅳ | Ⅰ | Ⅱm7 Ⅴ | Ⅰ | Ⅳadd9 | Ⅰ | Ⅱm7 | ・
映画じゃない 僕らの青だ 映画じゃない 僕らの夏だ
最初はJpopあるあるの落ちサビです。普通だと、落ちサビで一旦落ち着いたあと急激に盛り上がりを加速させラスサビを強調させるのですが、この曲では案外緩やかにラスサビへとつなげています。
また、ラスサビは今までのサビより音数が少なく、コードチェンジも半小節ごとではなく1小節ごとになり、ラストで爆盛り上がり!!!というよりは、爽やかな美しい感じでラストを飾っている、というような印象です。
最後は半終止のような感じで終わります。
まとめ
今回はMrs.Green Apple「青と夏」を分析してみました。
今後も様々な曲の分析をあげていこうと思っているので、ぜひご覧ください。

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